KOHH 『DIRT 2』 全曲レビュー(Disc 1のみ)

kohh dirt2

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大変長らくお待たせしました。

かなり立て込んでいたので、続きを書くのにこんな時間かかりました。

反省、いや、猛省しております…

さて、前回の準備編はお読みいただけましたか?

まだの方は、まずそちらから読んでみてくださいね。

それでは、いよいよ本編の全曲レビューに入りたいと思います。

ちなみに、Disc 2はMURASAKI BEATZによる過去曲のリミックスになるので、Disc 1のみをレビューしていきますね。

もうすでに購入したという方はもちろん、まだ聴いたことがない方も、是非チェックしていってくださーい。

『DIRT 2』Track List

(DISC-1)
01. Intro
02. Die Young
03. I Don’t Get It (feat. J $tash, Loota, Dutch Montana)
04. Business and Art
05. 暗い夜 (feat. Tommy Lee Sparta)
06. Born to Die
07. I Am Not a Rockstar
08. Needy Hoe (feat. Dutch Montana, Loota)
09. Hate Me

KOHH 「DIRT Ⅱ」リリースインタビュー【SPACE SHOWER NEWS】 | YouTube


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01. Intro

イントロは、『DIRT 2』の全貌を想起させるような、哀愁漂うギターサウンドから始まります。

“これまでリリースしてきたアルバムとは違う”

ということを、このイントロで明示しているような気がしました。

02. Die Young

KOHH – ”Die Young” Official Video | YouTube



イントロから続く2曲目は、『DIRT 2』のリードトラックとなる“Die Young”です。

おそらく、この“Die Young”が合うか合わないかで、『DIRT 2』の評価が分かれたのではないでしょうか?

というのも、強烈なギターリフの上でKOHHがシャウトするこの曲は、ヒップホップというよりも、もはやロックです。

YouTubeの1:47からなんて、

(モッシュパートか?)

というぐらいに激しいですから、合わない人には完全に合わなかったですよね、きっと(笑)

リリックの内容も、もちろんロックに関連しています。

“死んでもいいけど死にやしない
殺せるもんなら今殺せ
バスキア、ジミヘン、カートごめん
殺せるもんなら二度殺せ”


27歳という若さで亡くなった、ロックやブルースの音楽家たちを指す“27クラブ”。

その27クラブから、ジミ・ヘンドリックス、カート・コバーン、そして、ジャン=ミシェル・バスキアを名指しして謝っています。

KOHHは現在26歳。

27歳は目前だけれども、死にやしない…

なぜなら、

“I wanna be a Livin’ Legend”

ってことですね。

このあたりは、前作『DIRT』から繋がる部分なので、気になる方はそちらもチェックしてみてください。

03. I Don’t Get It (feat. J $tash, Loota, Dutch Montana)



個人的に『DIRT 2』で一番食らった曲。

この曲のフローができるのは、間違いなく今、日本でKOHHだけです。

ラップは基本的に4拍1小節、1バースを16小節で構成しているパターンが多いです。

で、日本語でラップする場合、その4拍の尻か頭で韻を踏むことが多いんですよね。

ジブさんの有名なパンチラインから説明すると、

“俺は東京生まれヒップホップ育ち 悪そうなヤツは大体友達

○○○● ○○○●(※●が押韻部分)

ここまで簡単じゃなくとも、ある程度規則的に踏んでいるパターンが多い…

もしくは、多少変則的でも、拍の中心を捉えて踏んでいるパターンが多いので、聴いててもわかりやすいんですよね。

ただ、この曲のKOHHのパートは正直エグいです。

出だしの4小節を例にとって説明してみましょう。

“ヘイターにはない俺たちにある どうして嫌うイレズミでも
遊びで暮らす友達集まる 車が停まるベンツレクサス高級車がBrrr…

図にすると、こんな感じ。

○○○● ○●○●
○●○● ●●○●

でも、聴いたらわかるんですが、変則的に踏んでいる上に、わざと拍の中心からズラして踏んでたりするので、もはやこの図もあてになりません。

“音に対する言葉の当て勘が凄まじい”

としか言いようがないですね。

J $tashも前半とんでもない踏み方してるから、その影響も受けてのKOHHのパートなのかな?

ただ、乗せやすい英語ならまだしも、日本語でこの乗せ方は、果たして練習して体得できるものなのか、正直謎です。

一緒に参加しているLootaもかなり頑張ってますが、やはりまだまだつかめてないですもんね。

盟友、J $tashと共にラップの既成概念をぶち壊しにかかった、会心の1曲です。

04. Business and Art

KOHH – ”Business and Art” Official Video | YouTube



KOHHの心情を吐露した曲であり、これからのKOHHの在り方を宣言した4曲目、“Business and Art”。

この曲の中でKOHHは、商業的な成功を収めると共に、いろいろな柵が生まれてくる現状を憂いています。

音楽業界では特によくある光景じゃないでしょうか?

お金にばかりフォーカスして、いつの間にか曲調まで変わっているアーティストなんて、腐るほどいてますもんね。

ヒップホップ的に言うと、セルアウトってやつですね。

でも、おそらくKOHHはセルアウトどうこうの次元の話をしているわけではありません。

リリックの中に、

“いくら大金貰っても絶対抱かないブス”

というフレーズが出てくるのですが、これはめちゃくちゃいい比喩表現だなと思いました。

自分が芸術だと思わない、感じないことは、楽曲だけじゃなく全てにおいて、いくらお金を積まれてもやりませんってことですね。

そして曲の後半では、世界的な評価を持つダンサーの田中 泯(たなか みん)を例にあげ、ラッパーという枠にもはめてくれるなと言っています。

“俺は俺でいい”
“俺のまま生きる”
“お金の為に生きるなら死ぬ”

曲中で何度もそう繰り返すKOHH…

その思いは、田中 泯のこの言葉に集約されているような気がします。

“ダンスとはその場で体感しなければ感じることができない。
言葉によって知識としての分類をすることはできない。
物事をひとくくりにすることで、わかったような気になる安定した思考は、本来のダンスからは最も程遠いものである。”


05. 暗い夜 (feat. Tommy Lee Sparta)



ジャマイカ出身のレゲエアーティスト、Tommy Lee Spartaを客演に迎えた5曲目、“暗い夜”。

Tommy Lee Spartaについては、下記で詳しく書かれているので、興味のある方は一度読んでみてくださいね。

Tommy Lee Sparta – Hero リリック解説

KOHHとTommy Lee Spartaが紡ぐメロディーが、3拍子のトラックとも相まって、何か1つの物語を見ているような気分になります。

この曲は、実際にジャマイカでレコーディングを行っており、リリック自体も、ジャマイカのストリートからインスパイアされたような内容になっています。

しかし、KOHHはメロディーセンスにも長けてますよね、本当に。

06. Born to Die



刹那的な人生を歌う6曲目、“Born to Die”。

稼いだお金で様々な無駄遣いをする様子が、曲中で描かれています。

どれだけ稼いで、どれだけお金を残したとしても、天国や地獄にまで財布を持っていくことはできない…

だったら、今生でパッと使ってしまおうじゃないかということですね。

比較的ライトに聴けてしまう曲なんですが、僕は個人的に“Business and Art”に通じる面白い曲だなと思いました。

“Born to Die”

すなわち、

“死ぬために生まれた”んだから、お金ごときに執着しても意味がないとKOHHは考えているんでしょう。

お金は人生において、あくまでツールの1つでしかないということですね。

それよりも、

“何を成すか”

に人生をかけることに意味がある…

“Business and Art”で歌っている、

“人生は短いけど芸術なら長い”

を、別の視点からアプローチした良曲です。

07. I Am Not a Rockstar



とにかく枠にはめないと見れない人間を痛烈にディスした7曲目、“I Am Not a Rockstar”。

ちょっとアクションを起しただけで、あーだこーだカテゴライズしてくる外野に対して、KOHHは歌います…

“I’m Not a Rockstar
I’m Not a Rapstar
I’m Not a Popstar
全部が簡単”


ロックもラップもポップも簡単。

ただ、好きなことをして生きているだけの一人の人間だと。

08. Needy Hoe (feat. Dutch Montana, Loota)



1stアルバム『梔子』に収録されている、“ビッチのカバンは重い”の続編と呼べる8曲目、“Needy Hoe”。

先に言っておきますが、この曲に関しては、Dutch Montanaの一人勝ちです。

僕は基本的に、ラップが下手なラッパーを、内輪のフックアップで客演させるのが嫌いです。

SEEDAの『花と雨』でのGANGSTA TAKAと言えばわかりやすいでしょうか。

Dutch Montanaに関しても、これまで同じように感じていました。

しかし、この曲でのDutch Montanaは、完全にパンチライン製造機と化しています。

出だしの入りからこれですからね。

“失礼なアバズレ、ブス穴お前、あっちいけ!”

言葉のチョイスがもうヤバイでしょ?(笑)

そういったニュアンスのリリックを書こうと思っても、普通ここまで単刀直入になれへんやろー?

っていうね(笑)

もう、ただの文句やから(笑)

そして、その後に続く満塁ホームラン級のパンチラインがこれ。

“「アタシのかばんは重くない」って言ってくるもう何人目のビッチ”

“ビッチのカバンは重い”からの長い長い前フリに、よくぞここまで見事なオチをつけたなと思いました。

もう女子からしたら、痛烈過ぎてぐうの音も出ませんよね(笑)

鮮やかの一言です。

「今まで邪険にして申し訳ありませんでした」

と、Dutch Montana氏にはこの場を借りてお詫びしておきます。

09. Hate Me



『DIRT 2』Disc 1のラストを飾る9曲目、“Hate Me”。

まくし立てるようにラップするKOHHが印象的です。

曲自体の長さは2:15と、9曲中最も短いですが、込められた熱量は最も高いと感じました。

“守るよりもぶち壊してまた作るのが生きがい”

曲中のこのフレーズに、KOHHの思いが色濃く出ている気がします。

“貧乏なんて気にしない”や“飛行機”なんかが好きな人からしたら、今のKOHHなんて聴けたもんじゃないですか?

でも、そんなことは、当の本人にとって全く関係ないってことですね。

“俺のこと好きになるなよまずあんたに興味無い”

この曲は、この言葉で始まり、この言葉で締めくくられます。

まとめ

さてさて、ながらくお付き合いいただいた、KOHHくんの最新アルバム『DIRT 2』全曲レビュー、いかがだったでしょうか?

当然、このレビューにも賛否両論あると思いますが、個人的には、かなり満足のいく内容になりました。

『DIRT 2』のリリース後、早くもこんな状況が訪れています。

KOHHの新作『DIRT II』が世界各国チャートで好アクション

『DIRT 2』のリリースによって、間違いなく、日本語でラップする方法に新たなブレイクスルーが起こってますよね。

まぁ、こういった海外チャートのアクションを見ずとも、これまで日本のラッパーが、US勢を客演させた曲を聴けばわかりやすいんですけどね。

AK氏の“Oh Lord”や、ANARCHYくんの“MUCH LATER”とかね。

功績としては凄いけど、馴染んでない感は否めないです。

「やっぱり日本語やな」

って思ってしまいますもんね。

そういった意味でも、KOHHくんが今やってるチャレンジって、聴いててホンマにワクワクします。

今回のレビューを通して、僕の言う、“最先端”の意味が、皆さんに少しでも伝わったなら幸いです。

そして、『DIRT 2』やKOHHくんがちょっとでも気になった方は、是非手にとって聴いてみてくださいね。

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ではではー。

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